【HEATH】X JAPAN 始めに
HEATHは1968年生まれ、兵庫県尼崎市出身のベーシストで、本名は森江博。1992年にTAIJIの後任としてX JAPANに加入し、HIDEの紹介を受けて伝説的なバンドのベーシストとなった。彼のプレイスタイルは重厚かつ正確で、イアン・ヒル、ニッキー・シックス、ジーン・シモンズといったハードロック系ベーシストからの影響を色濃く反映している。X JAPANの楽曲において、彼は派手さよりも堅実なグルーヴとバンドの低音基盤を支えることに徹し、楽曲全体の骨格を形成する重要な役割を果たした。
HEATHの音色は基本的に原音重視であり、過度なエフェクトを使わずベース本来のサウンドとアンプのキャラクターを活かした音作りが特徴である。代表曲「SCARS」「紅」「Silent Jealousy」などでは、太く安定した低音が楽曲の迫力を支え、ドラムとの一体感を生み出している。また、ソロ活動ではheathとして独自の音楽性を展開し、「迷宮のラヴァーズ」はアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマとして話題となった。彼のベースプレイは技巧的な派手さよりも、楽曲に必要な音を的確に配置する職人的なアプローチに定評があり、孤高のストイックなスタイルとして多くのベーシストに影響を与えた。
HEATHのサウンドの核心は、シグネチャーモデルのFernandes XB-95Hに代表される攻撃的なルックスと重厚な音色、そしてMesa BoogieやAMPEGといった定番アンプによる図太いローエンドにある。エフェクターをほとんど使用せず、楽器本来のポテンシャルとアンプのセッティングだけで表現する彼の音作りは、多くのベーシストにとって原点回帰の重要性を示している。2023年10月に惜しくも他界したが、彼の残した音楽とプレイスタイルは今なお多くのファンとミュージシャンに愛され続けている。
YouTubeでHEATHのプレイをチェック → こちら
使用アンプ一覧と特徴【X JAPAN・HEATH】
HEATHはライブとレコーディングの両方で、太く重厚なローエンドを得られるアンプを選択していた。メインとして使用していたのはMesa Boogie Bass 400+で、真空管による温かみのある歪みと図太い低音が特徴である。このアンプはハードロックやメタル系ベーシストに愛用されており、X JAPANのような大音量ライブでも音が埋もれることなく前に出てくるパワーを持つ。また、AMPEG SVT-CLも使用しており、こちらはクラシックなロックサウンドを求める際に選ばれたと想定される。AMPEGは特有の中域の押し出しと深い低音が魅力で、バンドサウンドの中でベースラインを際立たせる能力に優れている。
HEATHはエフェクターをほとんど使わない原音主義のスタイルであったため、アンプ選びが音作りの最重要要素であった。Mesa BoogieとAMPEGという2つの異なるキャラクターを持つアンプを使い分けることで、楽曲や会場に応じた最適なサウンドを追求していたと考えられる。特にライブではMesa Boogieの圧倒的なパワーとヘッドルームが重宝され、スタジオではAMPEGのヴィンテージな温かみが活かされることもあったと想定される。
機材名 | メーカー | アーティスト | ベーシスト | 備考 | Amazon | 楽天 | Yahoo! | 石橋楽器 | サウンドハウス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Bass 400+ | Mesa Boogie | X JAPAN | HEATH | メインアンプ、真空管による図太いサウンド | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
SVT-CL | AMPEG | X JAPAN | HEATH | クラシックなロックサウンド | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
SVT-810E | AMPEG | X JAPAN | HEATH | 8×10インチキャビネット | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
使用ベースの種類と特徴【X JAPAN・HEATH】
HEATHのメインベースはFernandesから発売されたシグネチャーモデルである。XB-95Hはワーロックタイプの攻撃的なボディシェイプを持ち、ステージ上での存在感が際立つデザインとなっている。このモデルはアクティブサーキットとハムバッカーピックアップを搭載し、太く力強い低音と明瞭な輪郭が特徴である。X JAPANの重厚なサウンドに最適化された仕様で、長時間のライブでも安定したパフォーマンスを提供する。
また、FJB-115Hというジャズベーススタイルのシグネチャーモデルも使用しており、こちらはボディに入った2本のストライプが印象的である。こちらはよりオーソドックスなベーススタイルを求める楽曲や、細かいフレーズを要求される場面で使い分けられていたと想定される。さらに、MusicMan StingRayのホワイトカラーも愛用しており、ハムバッカーによるパンチのあるサウンドが魅力である。StingRayは幅広いジャンルで使われる定番機種で、アクティブ回路によるハイファイなトーンとブーストされたミッドレンジがバンドサウンドの中で埋もれない存在感を生む。
機材名 | メーカー | アーティスト | ベーシスト | ベースの種類 | 備考 | Amazon | 楽天 | Yahoo! | 石橋楽器 | サウンドハウス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
XB-95H | Fernandes | X JAPAN | HEATH | ワーロックタイプ | HEATHシグネチャー、攻撃的デザイン | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
FJB-115H | Fernandes | X JAPAN | HEATH | ジャズベースタイプ | HEATHシグネチャー、2本ストライプ | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
StingRay | MusicMan | X JAPAN | HEATH | スティングレイ | ホワイトカラー、ハムバッカー搭載 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
StingRay 4 | MusicMan | X JAPAN | HEATH | スティングレイ | 4弦モデル | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
使用エフェクターとボード構成【X JAPAN・HEATH】
HEATHは基本的にエフェクターをほとんど使用しない原音重視のスタイルを貫いた。彼のシグナルチェーンは極めてシンプルで、ベース本体から直接アンプへと接続されることが多かった。このアプローチにより、楽器そのものの音色とアンプのキャラクターが最大限に活かされ、純粋で力強い低音がステージやレコーディングで再現された。
もし何らかのエフェクトが必要な場合でも、チューナーやダイレクトボックス程度であったと想定される。X JAPANの楽曲はドラマティックな展開と重厚なサウンドが特徴であるが、HEATHはそのすべてを楽器本体とアンプ、そして自身のタッチとダイナミクスで表現していた。このスタイルは、余計な機材に頼らず本質的な音楽性を追求する姿勢の現れであり、多くのベーシストにとって学ぶべき点である。
機材名 | メーカー | アーティスト | ベーシスト | エフェクターの種類 | 備考 | Amazon | 楽天 | Yahoo! | 石橋楽器 | サウンドハウス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
チューナーペダル | 各社 | X JAPAN | HEATH | その他 | チューニング用、機種不明 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
ダイレクトボックス | 各社 | X JAPAN | HEATH | ダイレクトボックス | PA接続用、機種不明 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【X JAPAN・HEATH】
基本EQ設定
HEATHの音作りはアンプのEQセッティングが中心である。低域は深く太いローエンドを得るためにブーストされていたと想定される。特に80Hz前後の帯域を強調することで、バンドの土台となる重厚な低音が形成される。中域はやや控えめにし、低域と高域のバランスを取ることで、ギターやボーカルの帯域と干渉せずにベースラインが明瞭に聴こえるようにしていたと考えられる。高域は適度に持ち上げることで、弦のアタック音やフィンガリングのニュアンスが強調され、埋もれない輪郭を獲得する。
楽曲別の使い分け
X JAPANの楽曲は激しいヘヴィメタルナンバーから壮大なバラードまで幅広いが、HEATHはそれぞれの楽曲に応じて微妙なセッティング変更を行っていたと想定される。「紅」や「Silent Jealousy」のような激しい楽曲では、アンプのゲインを上げて力強い低音とアタック感を強調し、ドラムのキックとユニゾンする迫力あるサウンドを作り出していた。一方、「Tears」や「Forever Love」といったバラードでは、よりクリーンで繊細なタッチが求められるため、アンプのゲインを控えめにして楽器本来の響きを活かすアプローチが取られていたと考えられる。
ミックスでの工夫
レコーディングやライブミックスにおいて、HEATHのベースは楽曲全体の土台となる低域を支えつつ、ギターやドラムと調和するバランスが重視されていた。特にX JAPANのような多重録音を駆使したサウンドでは、ベースが埋もれないようにミッドレンジの存在感が確保されていた。ミックスエンジニアは、ベーストラックに対してコンプレッサーを適度にかけることでダイナミクスを整え、低域は80Hz以下を緩やかにカットすることで余分な超低域ノイズを除去し、明瞭さを確保していたと想定される。
比較的安価に音を近づける機材【X JAPAN・HEATH】
HEATHのサウンドを再現したいと考える初心者ベーシストにとって、オリジナルの機材は高価であったり入手困難であったりする場合が多い。しかし、比較的安価な代替機材でも近いサウンドを得ることは十分可能である。ベースに関しては、Fernandes XB-95Hの代わりにIbanez GSRシリーズやYamaha TRBXシリーズといったエントリーモデルのアクティブベースを選ぶことで、パワフルで明瞭なサウンドを得られる。
アンプに関しては、Mesa BoogieやAMPEGの本格的なモデルは高額であるため、Fender Rumbleシリーズや、Ampeg BA seriesといったコストパフォーマンスに優れたモデルが推奨される。これらのアンプは手頃な価格でありながら、十分な低域とパワーを持ち、HEATHのようなストレートなベースサウンドを構築できる。エフェクターはほとんど不要だが、チューナーペダルとしてTC Electronic PolyTune Miniや、BOSS TU-3などを用意しておけば実用的である。
種類 | 機材名 | メーカー | アーティスト | ベーシスト | 備考 | Amazon | 楽天 | Yahoo! | 石橋楽器 | サウンドハウス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ベース | GSR370 | Ibanez | X JAPAN | HEATH | エントリーモデル、アクティブ回路 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
ベース | TRBX304 | Yamaha | X JAPAN | HEATH | コスパ良好、アクティブEQ搭載 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
アンプ | Rumble 40 | Fender | X JAPAN | HEATH | 自宅練習用、40W出力 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
アンプ | BA-108 | Ampeg | X JAPAN | HEATH | 小型練習用、Ampegサウンド | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
エフェクター | TU-3 | BOSS | X JAPAN | HEATH | チューナーペダル、定番モデル | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
エフェクター | PolyTune 3 | TC Electronic | X JAPAN | HEATH | チューナーペダル、高精度 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 |
総括まとめ【X JAPAN・HEATH】
HEATHの音作りの本質は、余計な装飾を排除し、ベース本来の音色とアンプの特性を最大限に引き出すことにあった。彼のサウンドは複雑なエフェクターチェーンや多数の機材に依存するのではなく、シンプルな構成でありながら圧倒的な存在感を放っていた。この姿勢は、機材に頼りすぎることなく、プレイヤー自身のタッチやダイナミクス、音楽的センスこそが最も重要であることを示している。X JAPANという巨大なバンドサウンドの中で、彼のベースは決して主張しすぎることなく、しかし確実に全体を支える土台として機能していた。
HEATHのサウンドを再現する上で最も重要なのは、低域の安定感と明瞭な輪郭である。これを実現するためには、まず自分の楽器を深く理解し、ベース本体のポテンシャルを最大限に引き出すセッティングを見つけることが第一歩となる。アンプ選びにおいては、真空管アンプの温かみとパワーを体験することが理想だが、予算が限られる場合でも現代のソリッドステートアンプは十分な性能を持っている。重要なのは、自分の耳で音を確認し、楽曲全体の中でベースがどのように聴こえるべきかを常に意識することである。
また、HEATHのプレイスタイルから学ぶべきは、技巧的な派手さよりも楽曲への貢献を優先する姿勢である。彼は自分のパートが楽曲全体にとってどのような役割を果たすべきかを深く理解しており、それに応じた音色選択とフレージングを行っていた。これは初心者から上級者まで、すべてのベーシストが心に留めておくべき重要な教訓である。機材は手段であり目的ではない。最終的に聴衆に届けるべきは、機材の良し悪しではなく音楽そのものである。
HEATHのレガシーは、彼が残した数々の名演と共に、音楽に対するストイックで誠実な姿勢にある。彼のサウンドを追求することは、単に特定の機材を揃えることではなく、音楽の本質を見つめ直し、自分自身のプレイスタイルを磨くことに他ならない。これからベースを始める人も、すでにキャリアを積んでいる人も、HEATHの音作りから多くのインスピレーションを得ることができるだろう。彼の音楽とその精神は、これからも多くのベーシストの道標となり続けるに違いない。
本記事参照サイト【X JAPAN・HEATH】
本記事は下記公式サイト等も参照させていただいております。
コメント