【The Mars Volta・Juan Alderete】風サウンドの作り方＋ベース使用機材セッティングのまとめ｜アンプ・エフェクター・音作り解説

関連記事

【Cacophony・マーティ・フリードマン】風サウンドの作り方＋ベース使用機材セッティングのまとめ｜アンプ・エフェクター・音作り解説

2025.11.28

【ZIGGY・戸城憲夫】風サウンドの作り方＋ベース使用機材セッティングのまとめ｜アンプ・エフェクター・音作り解説

2025.10.23

【キュウソネコカミ・カワクボタクロウ】使用機材まとめ｜アンプ・エフェクター・音作り解説

2025.10.25

【Juan Alderete】The Mars Volta 始めに

Juan Aldereteは実験的プログレッシブロックバンド「The Mars Volta」の中核メンバーとして活躍したベーシスト。メキシコ系アメリカ人の彼は、スラップやタッピングなどのテクニックを駆使した多彩なプレイスタイルで知られる。特にエフェクターを積極的に活用し、歪みやモジュレーション、フィルターなどを駆使した実験的なサウンドメイキングが特徴。The Mars Voltaの複雑な楽曲構造の中で、Omar Rodriguez-Lopezのギターと絶妙に絡み合いながらも、しっかりとしたリズムの土台を提供。「Eriatarka」や「L’Via L’Viaquez」などの代表曲では、ファズやワウを効かせた独特のベースサウンドが楽曲の世界観を支えている。ラテン音楽の影響を受けたリズム感と前衛的なアプローチで、プログレッシブロックの新たな可能性を切り開いた革新的ベーシストである。

YouTubeでJuan Aldereteのプレイをチェック → こちら

使用アンプ一覧と特徴【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteは、The Mars Voltaでの活動において、幅広い音作りのためにいくつかの特徴的なアンプを使用していました。主に愛用していたのはAmpeg SVTで、特にSVT-CLとSVT-VRを使い分け、パワフルでありながらも温かみのあるヴィンテージトーンを実現していました。 彼はライブパフォーマンスでは、Amapeg 8×10キャビネットと組み合わせることで、The Mars Voltaの複雑なプログレッシブロックサウンドの中でも埋もれない太い低音を確保。一方、繊細なパッセージでは、SWRアンプも使用し、より明瞭な中高域を引き出していました。 レコーディング時には、SVTに加えてAmpeg B-15など、ヴィンテージアンプも活用し、曲の雰囲気に応じて音色を使い分け。エフェクターを多用する彼のプレイスタイルにおいて、アンプは原音の忠実さと歪みの質感を重視して選択されています。 特にOmar Rodriguez-Lopezのギターサウンドと絡み合う際は、中低域を強調したセッティングを好み、バンドの実験的サウンドスケープの土台として機能していました。

使用アンプ機材表【The Mars Volta・Juan Alderete】

使用ベースの種類と特徴【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteは主にFender Jazz Bassをメインに使用しており、特に70年代のモデルを好んでいます。サブとしてFender Precision Bass、Zon Legacy Elite 5弦、Musicman Stingrayなども活用しています。彼のJazz Bassは伝統的なデュアルシングルコイルPU構成を持ち、中域の抜けの良さとアタック感の強さが特徴です。 特筆すべきは彼独自のトーン作りで、ベースの持つナチュラルな音色を活かしながらも、エフェクターを駆使して実験的なサウンドを創出します。Jazz Bassの明瞭な中高域と適度な低域量感をベースに、The Mars Voltaの複雑なプログレッシブロックにマッチする音作りを実現。特にJazz Bassのブリッジピックアップを強調した設定で、バンドのサウンドの中で埋もれないアタック感と存在感のある音色を生み出しています。

使用ベース機材表【The Mars Volta・Juan Alderete】

使用エフェクターとボード構成【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteは独自の実験的なサウンドで知られるベーシストで、The Mars Voltaでの演奏では多彩なエフェクターを駆使しています。彼のボード構成はRing Modulatorやビタジーやファズなどの歪み系、Envelope Filterなど変則的なエフェクターを中心に組み立てられています。通常のベースサウンドの領域を超え、ノイズや質感の変化を意図的に取り入れることで、The Mars Voltaのサイケデリックでプログレッシブな音楽性を下支えしています。特にMoog MF-102 Ring ModulatorやMoog MF-101 Low Pass Filterを使った実験的なサウンドメイキングは彼の特徴で、Omar Rodriguez-Lopezのギターサウンドと絡み合うことを意識した音作りを行っています。バンドの複雑なリズムセクションを支えながらも、時に前面に出るサウンドスケープの創造者としての役割を果たしています。

使用エフェクター機材表【The Mars Volta・Juan Alderete】

音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteは音作りの基本として、Stingray BeefcakeとFender Jaguarを使い分け、EQ設定ではミッドを500Hz付近で+3dB程度ブーストさせています。
The Mars Voltaの複雑なプログレッシブサウンドでは、ローが80Hz前後で+2dB、ハイは1.5kHz以上を-2dB程度カットし、Omar Rodriguez-Lopezのギターと周波数帯を棲み分けています。
特に「Deloused in the Comatorium」では、Mu-Tronエフェクターを使用して200-400Hz帯域を強調し、低域の存在感を保ちながらも明瞭さを確保していました。

ライブセッティングでは、Aguilarアンプを通して低域を太く保ちつつ、コンプレッサーのアタックを30ms前後、レシオを4:1に設定し、バンドの激しい音量変化に対応しています。
「Amputechture」のような複雑なリズムパターンの曲では、ミッドを600Hz付近で少し削り、代わりに2kHz付近を+2dB持ち上げることで、ドラムのスネアとの干渉を避けています。
さらにRed Witchのエフェクターを駆使して、楽曲の展開に合わせて音色変化を作り出しており、特にPsychosisというペダルで独特の倍音を生み出しています。

スタジオミックスでは、Juan自身がイコライジングの際、250Hz付近を意識的に削り、ベース音の「モコモコ感」を排除することを重視しています。
「Frances the Mute」では、コンプの設定はスレッショルドを-15dB、レシオを3:1にし、バンドのカオティックなアンサンブル内でも一貫した低域の支えを提供しています。
ステレオミックス内での定位はセンターからやや左寄りで、右側に広がるギターサウンドとバランスを取る配置になっており、これがThe Mars Voltaの立体的なサウンドスケープを形成する重要な要素となっています。

比較的安価に音を近づける機材【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteのファズとエンベロープフィルター主体の音を再現するには、まずベースに中音域が出るピックアップを選びましょう。Fenderタイプのジャズベースやプレシジョンベースをベースに、ファズ系エフェクターとオートワウが基本セットになります。手頃な価格帯ではEHXのBass Big Muff PiとMXR Bass Envelope Filterの組み合わせがThe Mars Voltaのサイケデリックな音作りの近道です。

音作りの核心はファズペダルのセッティングにあり、ドライブを控えめに設定しつつ、ローカットを効かせて中高域を強調するとAlderete風のグリッティなサウンドに近づきます。MXRのエンベロープフィルターは感度を高めに設定し、レンジを広く取ることで彼特有のスイープ感のあるワウ効果を得られます。コンプレッサーを加えれば音の粒立ちと安定感が増し、より本格的なサウンドに近づくでしょう。

アンプについては高出力のベースアンプよりも、クリーンなヘッドフォンと8〜10インチのキャビネットの組み合わせが手頃です。Ampeg BA-110やFender Rumble 40などの小型アンプでも十分な表現力があります。さらに上を目指すなら、Line6 HX Stomp等のマルチエフェクターを導入すれば、エフェクトチェーンの実験や複雑なルーティングも予算内で試せるようになるでしょう。

比較的安価に音を近づける機材表【The Mars Volta・Juan Alderete】

総括まとめ【The Mars Volta・Juan Alderete】

Juan Aldereteのサウンドの核心は、音の奥行きと立体感を追求する姿勢にある。The Mars Voltaのプログレッシブなサウンドスケープの中で、彼のベースラインは単なるリズムセクションを超え、音楽の物語性を豊かに彩る重要な要素となっている。特筆すべきは彼の実験精神で、エフェクターを駆使した音作りにおいて、従来のベースの概念を打ち破る独創的なアプローチを取る。ファズやフィルター系エフェクトを巧みに操り、時に前衛的で時にグルーヴィーなサウンドを生み出し、Omar Rodriguez-Lopezのギターと絶妙に絡み合う音世界を構築している。

彼のサウンドを再現する上で重要なのは、エフェクターの単なる接続順ではなく、各エフェクトの繊細な設定と使い分けの感覚だ。特にファズとオクターバーの組み合わせ、ディレイとリバーブによる空間系エフェクトの活用法は彼の個性を形作る要素となっている。また注目すべきは、彼がエフェクトを「楽器の一部」として捉える姿勢であり、曲の展開に合わせて即興的にパラメーターを操作する演奏スタイルにある。The Mars Voltaの複雑な楽曲構造の中で、曲の展開や感情に合わせて音色を変化させる感性とテクニックが、彼のサウンドメイキングの本質といえる。

しかしAldereteが真に伝えるべき教訓は、機材への過度な依存を避け、自分自身の音楽的アイデンティティを追求する姿勢だろう。彼は特定の機材に固執するのではなく、自分の音楽的ビジョンを実現するためのツールとして柔軟に機材を選択している。最も重要なのは、プレイヤー自身の指のタッチやリズム感、そして音楽性であり、それがあってこそエフェクトの個性が生きてくることをAldereteは体現している。The Mars Voltaというバンドの音楽的冒険に寄与した彼の姿勢は、機材探求の先にある「自分だけの音楽表現」の重要性を私たちに教えてくれる。

本記事参照サイト【The Mars Volta・Juan Alderete】

本記事は下記公式サイト等を参照して作成しています。

• Premier Guitar – Rig Rundown: The Mars Volta’s Juan Alderete
• BOSS Tone Central – Bass Reimagined by Juan Alderete
• 音楽武装 – Juan Alderete
• ベース博士 – Juan Alderete